第九のブライトコプフ新旧パート譜 [音楽・楽器]
今月20日と27日に「第九」を演奏する話は何度も書いてますが、実は楽譜が微妙に違います。
最近、ベートーベンなどの楽譜は「ベーレンライター版」というのが「流行」しています。
いろいろな資料に当たって、誤りと思われる箇所を「訂正」するなどしたということで、それ以前の「慣行版」とはかなり変わっているようです。
(中身を詳しく見たことはないのですが…。)
しかし、今回はそれとは楽譜出版の老舗「ブライトコプフ・ウント・ヘルテル」のもので、古い版と新しい版です。
【2種類のパート譜(コントラバス)・左が旧版で右が新版】
多くの資料によると旧版は1864年に出版されていて、これが「慣行版」として、過去の多くの演奏で使われているそうです。(第九の作曲は1824年)
これに対し、新版は、上記ベーレンライター版の「流行」に対抗すべく、新たに版を起こして(当然デジタル入力でしょう)、2005年ごろに発行したとのこと。
新版と旧版の大きな違いは、まず旧版がチェロとコントラバスが両方印刷されているのに対し、新版はコントラバスのみ。
第九は、コントラバスとチェロがかなり違うので、これだけでもかなりページ数が減りそうなのですが、実際には1~2ページしか違いません。
その代わり、かなり余裕を持って(詰め込まずに)印刷されています。
ただし、この「チェロパートの有無」は音楽的には影響がありません。
音楽的には、まずスラーの掛けかたがだいぶ違います。
聞いている分にはあまり関係ない場合もありますが、奏者にとっては弓づかいが変わることも多いので、結構影響があります。
明らかに音符が違う箇所は、そんなに多くはないのですが、はっきりしているのは、4楽章の下記の画像の部分。
チェロ・コントラバスの冒頭のレシタティーボが終わり、「歓喜の歌」のテーマを弾いたあと、楽器がだんだん増えていって盛り上がる途中の部分です。
新版(下の画像)で赤丸を付けた8分音符が、旧版にはない音です。
【旧版(4楽章)】
【新版(同)】
プロなら珍しくないのかもしれませんが、1週間の間に同じ曲を違う楽譜で演奏するのはなかなかない経験です。
ちなみに、なぜこんな違いが生じるかですが、一般的には▼作曲者の書き間違い(を校訂者が直した)▼写譜の間違い▼作曲者があとで訂正・改訂した▼どちらにも解釈できる▼後から書き込まれたものを印刷の際に採用した・・・などが考えられます。
ベートーベンの自筆譜はネットでも公開されていますが、相当乱雑なので、「どちらにも見える」という部分が相当ありそうです。
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最近、ベートーベンなどの楽譜は「ベーレンライター版」というのが「流行」しています。
いろいろな資料に当たって、誤りと思われる箇所を「訂正」するなどしたということで、それ以前の「慣行版」とはかなり変わっているようです。
(中身を詳しく見たことはないのですが…。)
しかし、今回はそれとは楽譜出版の老舗「ブライトコプフ・ウント・ヘルテル」のもので、古い版と新しい版です。
【2種類のパート譜(コントラバス)・左が旧版で右が新版】
多くの資料によると旧版は1864年に出版されていて、これが「慣行版」として、過去の多くの演奏で使われているそうです。(第九の作曲は1824年)
これに対し、新版は、上記ベーレンライター版の「流行」に対抗すべく、新たに版を起こして(当然デジタル入力でしょう)、2005年ごろに発行したとのこと。
新版と旧版の大きな違いは、まず旧版がチェロとコントラバスが両方印刷されているのに対し、新版はコントラバスのみ。
第九は、コントラバスとチェロがかなり違うので、これだけでもかなりページ数が減りそうなのですが、実際には1~2ページしか違いません。
その代わり、かなり余裕を持って(詰め込まずに)印刷されています。
ただし、この「チェロパートの有無」は音楽的には影響がありません。
音楽的には、まずスラーの掛けかたがだいぶ違います。
聞いている分にはあまり関係ない場合もありますが、奏者にとっては弓づかいが変わることも多いので、結構影響があります。
明らかに音符が違う箇所は、そんなに多くはないのですが、はっきりしているのは、4楽章の下記の画像の部分。
チェロ・コントラバスの冒頭のレシタティーボが終わり、「歓喜の歌」のテーマを弾いたあと、楽器がだんだん増えていって盛り上がる途中の部分です。
新版(下の画像)で赤丸を付けた8分音符が、旧版にはない音です。
【旧版(4楽章)】
【新版(同)】
プロなら珍しくないのかもしれませんが、1週間の間に同じ曲を違う楽譜で演奏するのはなかなかない経験です。
ちなみに、なぜこんな違いが生じるかですが、一般的には▼作曲者の書き間違い(を校訂者が直した)▼写譜の間違い▼作曲者があとで訂正・改訂した▼どちらにも解釈できる▼後から書き込まれたものを印刷の際に採用した・・・などが考えられます。
ベートーベンの自筆譜はネットでも公開されていますが、相当乱雑なので、「どちらにも見える」という部分が相当ありそうです。
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