「ようこそ!すばらしきオーケストラの世界へ」 [読書]
▼読み終わった本
*「ようこそ!すばらしきオーケストラの世界へ」
近藤憲一・著、ヤマハミュージックメディア
【帯紹介】
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クラシックはオーケストラがいちばん!
宮本文昭さん&3人のコンサートマスター
篠崎史紀さん、荒井英治さん、矢部達哉さんが語る
「オーケストラは無限の宇宙」
オーケストラの楽員と”黒子”たちをクローズアップ!
オーケストラを聴くのが楽しくなる「おもしろ雑学」満載!
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著者は、元音楽之友社勤務で、「レコード芸術」や「音楽の友」の記者をしたあと、音楽関係の文章を執筆している人物とのこと。
オーケストラや音楽業界の『裏側』には詳しいそうで、いろいろなエピソードを面白く読みました。
例えば、オケの楽員を弦楽器と管楽器それぞれの「首席奏者」「トゥッティ」それに「エキストラ」などに分けて説明しています。
また、「裏方」として、「理事長」とか「ライブラリアン」とか「ステージ・マネージャー」などの役職について説明しています。
しかし、楽器のことや『アマチュアオーケストラ』のことはあまり詳しくないのでは、思わせる部分が何カ所か…。
例えば、「こんなにあるオーケストラの楽器」の「弦楽器」の説明で「ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの4種だが、ひとくくりで『ヴァイオリン族』と呼ばれる。つまり、祖父母・父母・子どもたちと呼べるような血の濃い親族関係にある。当然のことに、近親性が強いから、音域が違っても実によくまとまっている。18世紀初めまでに完成され、弦は4本、フレットのない指板、f字の響孔、湾曲した裏板を持つ。ヴァイオリン族の歴史は古く、その前身にはヴィオラ・ダモーレ、ヴィオラ・ダガンバ、バリトンなどがある。」となっています。
コントラバスを、チェロなどと一緒に「ヴァイオリン族」に「ひとくくり」にしないでほしいし、「祖父母・父母・子どもたち」がいまひとつ意味が分かりません。
それに私の楽器は弦が4本でもなければ裏板も湾曲していませんし…。<苦笑>
まあ、「入門書」なので細かいことは簡略化しているのでしょう。
もう一つ、この本では日本のアマチュアオケについて、「社団法人『日本アマチュアオーケストラ連盟』のサイトを見ると、05年時点で147とあるが(鳥取県だけがない。現在加盟していたら、すみません)、連盟に加盟していない団体がこの数倍あるだろう。ということで、日本のアマオケの数はほとんどの勘と多少の知識で、300程度と見た」という記述があります。
何度か書いているように、「フロイデ」というアマオケ関係者が大変お世話になっているサイトを見ると、東京都内だけでアマオケ(市民オケ)が300程度掲載されています。
ウェブサイトを持たないオケや、一発オケ(これをどう数えるかは難しいですが)を考えると、都内のオケはもう少し多いでしょう。
また、関東近県(神奈川、埼玉、千葉)や大阪あたりももそれぞれ数十のオケの名称が載っていて、「東京以外」のアマオケの数は500以上。
結局、全国だと1,000近く(またはそれ以上)のアマチュアオケがあるのは間違いないでしょう。
しかも、これは社会人中心のオケの数なので、大学や高校(あるいは小中学校)のオーケストラは入っていません。
大学によっては、学内に複数のオケがあったり、キャンパスごとや学部ごとにオケがある場合もあるので、かなりの数あるのは確かです。
ということで、著者が「勘と知識」で示した「300」という数は、残念ながらだいぶ少なめと断言させていただきます。
まあ、こういう細かい点を別にすれば、「オケについて知らない人に興味を持ってもらう」という意味では、悪くない本だとは思いました。
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近藤憲一・著、ヤマハミュージックメディア
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クラシックはオーケストラがいちばん!
宮本文昭さん&3人のコンサートマスター
篠崎史紀さん、荒井英治さん、矢部達哉さんが語る
「オーケストラは無限の宇宙」
オーケストラの楽員と”黒子”たちをクローズアップ!
オーケストラを聴くのが楽しくなる「おもしろ雑学」満載!
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著者は、元音楽之友社勤務で、「レコード芸術」や「音楽の友」の記者をしたあと、音楽関係の文章を執筆している人物とのこと。
オーケストラや音楽業界の『裏側』には詳しいそうで、いろいろなエピソードを面白く読みました。
例えば、オケの楽員を弦楽器と管楽器それぞれの「首席奏者」「トゥッティ」それに「エキストラ」などに分けて説明しています。
また、「裏方」として、「理事長」とか「ライブラリアン」とか「ステージ・マネージャー」などの役職について説明しています。
しかし、楽器のことや『アマチュアオーケストラ』のことはあまり詳しくないのでは、思わせる部分が何カ所か…。
例えば、「こんなにあるオーケストラの楽器」の「弦楽器」の説明で「ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの4種だが、ひとくくりで『ヴァイオリン族』と呼ばれる。つまり、祖父母・父母・子どもたちと呼べるような血の濃い親族関係にある。当然のことに、近親性が強いから、音域が違っても実によくまとまっている。18世紀初めまでに完成され、弦は4本、フレットのない指板、f字の響孔、湾曲した裏板を持つ。ヴァイオリン族の歴史は古く、その前身にはヴィオラ・ダモーレ、ヴィオラ・ダガンバ、バリトンなどがある。」となっています。
コントラバスを、チェロなどと一緒に「ヴァイオリン族」に「ひとくくり」にしないでほしいし、「祖父母・父母・子どもたち」がいまひとつ意味が分かりません。
それに私の楽器は弦が4本でもなければ裏板も湾曲していませんし…。<苦笑>
まあ、「入門書」なので細かいことは簡略化しているのでしょう。
もう一つ、この本では日本のアマチュアオケについて、「社団法人『日本アマチュアオーケストラ連盟』のサイトを見ると、05年時点で147とあるが(鳥取県だけがない。現在加盟していたら、すみません)、連盟に加盟していない団体がこの数倍あるだろう。ということで、日本のアマオケの数はほとんどの勘と多少の知識で、300程度と見た」という記述があります。
何度か書いているように、「フロイデ」というアマオケ関係者が大変お世話になっているサイトを見ると、東京都内だけでアマオケ(市民オケ)が300程度掲載されています。
ウェブサイトを持たないオケや、一発オケ(これをどう数えるかは難しいですが)を考えると、都内のオケはもう少し多いでしょう。
また、関東近県(神奈川、埼玉、千葉)や大阪あたりももそれぞれ数十のオケの名称が載っていて、「東京以外」のアマオケの数は500以上。
結局、全国だと1,000近く(またはそれ以上)のアマチュアオケがあるのは間違いないでしょう。
しかも、これは社会人中心のオケの数なので、大学や高校(あるいは小中学校)のオーケストラは入っていません。
大学によっては、学内に複数のオケがあったり、キャンパスごとや学部ごとにオケがある場合もあるので、かなりの数あるのは確かです。
ということで、著者が「勘と知識」で示した「300」という数は、残念ながらだいぶ少なめと断言させていただきます。
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タグ:オーケストラ
オーケストラってそんなにたくさんあるのですね。
びっくりです。
by manamana (2010-08-22 07:01)
楽器にしても動物にしても人間にしても、勝手にひとくくりにされると面白くないですよね。ひとくくりにするだけでなく、そのグループはこういうものだとごく一面だけをとらえてまるでそれがすべてのようにレッテルをはられる…お気もちお察しいたします。
by 青沢東(QMY) (2010-08-23 09:12)
manamanaさま
アマチュアオーケストラは、新しくできることはあっても、減ることはきわめてまれだと思うので、これからも増え続けると思います。
まあ、ある意味、日本の音楽教育の成果だと思います。
by Lionbass (2010-08-24 18:22)
青沢東さま
事情を知らない人が「ひとくくり」にして理解するのは”許容範囲”だと思うのですが、「自分は詳しい」という人はもう少し書きかたに工夫が欲しいと思った次第です。
by Lionbass (2010-08-24 18:23)