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「不思議な経済大国 中国」 [読書]

▼読み終わった本
*「不思議な経済大国 中国」
室井秀太郎・著、日経プレミアシリーズ


不思議な経済大国 中国

不思議な経済大国 中国

  • 作者: 室井 秀太郎
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2010/01/13
  • メディア: 新書


【帯紹介】
******************************

5カ年計画が市場経済に不可欠?
常識が通じない社会主義市場経済の矛盾を解明
******************************


【帯紹介】
******************************
本書の目次から
序章 矛盾を抱えた社会主義市場経済
第1章 市場化でもなくならない5カ年計画
第2章 有力企業が上場しない株式市場
第3章 ありえない上海発世界同時株安
第4章 ”世界の工場”、どこまで増える供給力
第5章 周到な戦略が生んだ高成長
第6章 世界でも有数の格差社会
第7章 発展する都市に追いつかない農村
第8章 世界一の外貨準備国のローカル通貨、人民元
第9章 WTO加盟でも絶対潰れない国有商業銀行
第10章 共産党一党体制でも地方政府は”面従腹背”
******************************


筆者は、日本経済研究センターの主任研究員で、日経新聞の記者として北京、上海の駐在経験を持っているとのこと。

カバーの紹介文にもあるのですが、中国経済(GDP)は今年、日本を抜いたと言われています。
ただ、中国の人口は、13億人と言われていて、実際は14億とも15億とも言われているので、1人あたりGDPで言うと、12分の1とか13分の1になると思われます。

しかも、上記の目次にもあるように、都市と農村の格差は大きく、農村部は「市場経済」というか「貨幣経済」とはほとんど無縁に思えます。

また、地方の「面従腹背」という話が出てきますが、中国全土は「EU全体」あるいはロシアや(旧)東欧諸国も含めたヨーロッパ全体に匹敵する(あるいはそれ以上の)多様性に富んでいると言っていいと思います。
こうした多様性に富む地域を、一緒くたに論じるのは、あまりお勧めできることではありません。

そして、よく言われることですが、中国やインドのような格差が大きく、多様性に富んだ国(経済)については、1つの数字で語る(代表させる)のは意味がないような気がします。

少なくとも、都市と農村を合わせた数字を「平均」するのは、「何も代表しない」数字になる恐れが強いと思われます。

それと、統計の問題があります。
上への「報告」が役人の評価に直結するとすれば、「水増し」の数字が横行するのは当たり前のこと。
中国の各種統計が、「水増し」「虚構」に満ちているのは、当たり前と言われています。


この本は、こうした中国の経済についての見方について、いろいろ教えてくれる、極めて勉強になる本だと思いました。


▽購入した本
*「漢文と東アジア―訓読の文化圏」
金文京・著、岩波新書


漢文と東アジア―訓読の文化圏

漢文と東アジア―訓読の文化圏

  • 作者: 金 文京
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/08/21
  • メディア: 新書





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コメント 4

青沢東(QMY)

常識が通じない社会主義市場経済…う~ん、言い得て妙ですねえ。
私は中国はとっても資本主義的な考え方がマッチする国民性だと思います。お金=幸せという尺度でものを考えられる人達ですから、幸せの最大化=収入の最大化ということで、経済成長が幸せをもたらすのですからねえ。笑顔もお金で買えるものかもしれません。
by 青沢東(QMY) (2010-10-09 12:39) 

YAP

たしかに一言で中国を表すことって無理そうですね。
私たちが見ている勢いのある中国って、ほんの断片なんでしょうね。
by YAP (2010-10-09 16:27) 

Lionbass

青沢東さま
確かに、中国以外でも華僑は商人として成功する例が多いみたいですしね。
なんだかんだ言っても、飢えている人が今ほど少ない時代は、中国の歴史上初めてみたいですからね。
経済運営としては成功だったのでしょうね。
by Lionbass (2010-10-13 17:30) 

Lionbass

YAPさま
中国について「全体像を知る」のはなかなか難しいですね。
いろんな本を読んで勉強を続けたいと思ってます。
by Lionbass (2010-10-13 17:32) 

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