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「交通事故より確率が低い!?」 [日本語・外国語]

きょうで1月も終わり。とりあえず1ヵ月間は、「毎日更新」を果たしました。今後も、ぼちぼちやりたいと思います。

さて、先日、BSE問題で来日したアメリカの農務次官が、次のような発言をしました。
「アメリカ産牛肉を食べてBSEにかかる確率より、牛肉を買いに車から降りて店まで歩く間に車にはねられる確率の方が高い。」

このように、都合の悪いことについて「交通事故よりも確率が低い」といって、大したことではないと強調する例はよくあるように思います。

この発言、一見、論理的に正しいように思えますが、重大な「問題」があります。

「交通事故」に遭う場合、理由・目的があって、車に乗っていたり、道を歩いたりしています。通常は、何かの理由があって目的地に向かっているわけですし、たとえ目的のないドライブや散歩であっても、それによって精神的な充足を得るなどの効用があるわけです。また、車に乗る時は、事故の「覚悟」を多かれ少なかれしていますし、散歩する場合でも、道の状況によっては「用心」するわけです。
これに対し、(交通事故と)比較している事柄(この場合アメリカ産牛肉を食べること)には、必ずしも「効用」があるわけではありません。
もちろん、(アメリカ産)牛肉には「食べておいしい」とか「栄養がとれる」という効用はありますが、これは「国産牛肉」とか「魚」とか「豆類」と比べる必要があります。
「国産牛肉よりも、アメリカ産牛肉の方が、リスクを冒してでも食べる理由・効用がある」ということでなければ、論理が成り立たないと思うのです。

以前、レバノンのベイルートに出張した際、某K通信社の記者と「論争」したことがあります。
当時、ベイルートは「内戦」が一応終結したところで、銃弾・砲弾が飛び交う状況ではありませんでしたが、市内ではときどき爆弾テロと思われる爆発が起きたりしていました。
しかし、街全体は、かつて「中東のパリ」と呼ばれた瀟酒な雰囲気が残っていて、物資の豊富さなどからも、当時住んでいたエジプト・カイロに比べて、「いい街だ」と思ったりしていました。
その状況について、K通信の記者が「爆弾テロなんか、交通事故よりも確率は低い」と言ったので、私は「それはおかしい」と反論したわけです。

既にお分かりのように、爆弾テロは、何の効用もなく、「覚悟」もないところに起きて、身体的・精神的・物質的な被害を受けるわけです。
何らかの効用・目的があって車に乗った結果遭う交通事故と比べるのは、「詭弁」に過ぎないのではないでしょうか?


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